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アトピー患者に発汗を促すべきか? - 生活管理方法
ブログ 2025年1月19日

アトピー患者に発汗を促すべきか? - 生活管理方法

崔然昇
崔然昇
代表院長

以前の記事で、アトピーの患部が年齢とともに変化していくことと、発汗能力との関連性についてご紹介しました。 アトピーができやすい部位とその理由?

アトピー病態の基本的な構造を示す図です。

実際、アトピー患者さんに「汗をかきますか?」と尋ねると、多くの場合、「あまり汗をかかない」と答えることが多いです。運動をしたり暑いと感じたりしても、体から汗がなかなか出ないという話をよく聞きます。皮膚を直接触ったり目で観察したりしても、皮膚が乾燥しているだけでなく、見た目にも汗腺がどこか詰まっているような印象を受けます。

汗の機能と皮膚保護

ご存じの通り、汗の代表的な機能は体温調節です。その他にも、皮脂と汗が混ざって形成されるハイドロリピッドフィルムが皮膚表面を覆い、皮膚の一次的な保護膜(フロントラインバリア)の役割も果たします。

Sweat in the pathogenesis of atopic dermatitis
出展: Murota, H., et al. (2018). Allergology International. doi:10.1016/j.alit.2018.06.003

汗とともに分泌される様々な生理学的成分は、微生物を抑制したり、抗アレルゲンなどに関与したりすることもあります。さらに、皮膚に適切な水分を供給するなど、皮膚バリア機能においても重要な役割を果たします。私は主に「コンディショニング」という表現を使っています。

汗の排出過程の複雑性

Sweat excretion and reabsorption
出展: Murota, H., et al. (2015). Journal of Dermatological Science. doi:10.1016/j.jdermsci.2014.08.011

汗の排出と再吸収に関する図です。こういった図を見ると、大体「やはり非常に複雑な仕組みになっているな」という程度に理解して次に進むことが多いです。ただ、上記の研究では、汗の排出過程においてヒスタミンによる汗の排出抑制が見られることが重要であると述べられています。

アトピー患者の発汗低下

これに関連して、アトピー患者、特に女性の場合に、汗を排出する能力が低下していることが研究によっても確認されています。つまり、実際にはアトピー患者は汗を排出する能力が低下しており、それによる皮膚の正常な機能低下がアトピー性皮膚炎の発症リスクを高める主要な原因である可能性があるということです。

Sweat excretion in atopic patients
出展: Murota, H., et al. (2018). Allergology International. doi:10.1016/j.alit.2018.06.003

汗とアトピー症状の関係

かなり長い間、汗がアトピーの悪化要因として指摘されてきたのも事実です。これは、患者を対象とした主観的なアンケート調査研究などでも、何度か示されてきた結論だと言われています。ほとんどの患者さんが、「汗をかいた後に症状が悪化したように感じた」と述べているのです。このような乖離はどこから生じたのでしょうか?

最近の研究では、「sweating(発汗行為)」と「sweat after sweating(発汗後の汗)」を区別する必要があると指摘されています。つまり、汗をかくこと(sweating)は、皮膚機能の活性化に役立ちます。しかし、発汗の結果として分泌された汗(sweat)は、素早く拭き取らないと、皮膚のpHを希釈するなど、皮膚のコンディショニングに悪影響を与える可能性があるのです。

アトピー性皮膚炎の管理ガイドライン

Lifestyle guidance for atopic dermatitis
出展: Murota, H., & Katayama, I. (2016). Pediatric Allergy, Immunology, and Pulmonology. doi:10.1089/ped.2016.0723

最近のアトピー性皮膚炎のガイドラインでは、汗をかくことは良いことであるものの、汗をかいた後は拭き取り、適切に乾燥させるプロセスを伴うべきだと強調されています。この際には、当然ながらクレンジングについての適切な指導を行う必要があります。過度なクレンジングも良くありませんからね。

パンツや下着を選ぶ際にも、汗を吸収する綿素材よりも、通気性の良いポリエステルなどの素材がより適しているという推奨もありますので、ご参考にしていただければと思います。

結論

まとめると、汗をかきにくいアトピー患者に対して、汗をかきやすい状態を作り、皮膚のコンディショニングを活性化させるという治療戦略を立てることができるでしょう。漢方薬を用いることもできますし、半身浴や高周波を活用した深部温熱療法などを導入することも考えられます。人によって異なりますが、角質と角化を伴うケースであれば、マイルドな角質除去もかえって汗の分泌を助ける可能性があります。

次回は、保湿についてお話しを続けていきたいと思います。

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崔然昇

崔然昇 代表院長

15年の臨床経験と精密なデータ分析に基づき、ダイエットから難治性疾患まで、体のバランスを取り戻す統合治癒ソリューションを提案します。

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