長引く産後の不調、もうこのまま付き合っていくしかないのでしょうか?
「慢性的な産後病(産後風)、もう一生付き合っていくしかないのでしょうか?」
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「慢性的な産後病(産後風)、もう一生付き合っていくしかないのでしょうか?」 |
診察室で私が診察する多くの30代の女性患者様がおっしゃる言葉です。特に、出産から数年経っても、依然として体が冷え、むくみ、関節の節々が痛むと訴えられます。夜には寝汗をかき、ぐっすり眠ってもすっきりしない慢性的な疲労が影のように付きまといます。さらには、原因不明の不安感や抑うつ感が襲い、生きる意欲まで失われるとお話しされる時には、その長い苦痛の重みが私にもひしひしと伝わってきます。
一般的に「産後病(産後風)」というと、出産直後の症状を思い浮かべがちですが、私が臨床で診る多くの方は、産後3年、5年、さらには10年経ってから、遅れて、あるいはより深刻な症状を訴えられます。最初は「育児のせいだろう」「年のせいだろう」とやり過ごしているうちに、後には、痛みクリニック、リハビリテーションなど、様々な方法を試しても一時的な効果しかなく、結局「元々こんな体になってしまった」と諦めてしまうケースが少なくありません。
ミンジさんのケース:5年経っても終わらない産後病(産後風)
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私が記憶している30代半ばのミンジさん(仮名)も、まさにそのようなケースでした。第二子出産から5年が経っていましたが、常に手首と膝の関節痛に悩まされ、特に冷たい風が吹くと手足が冷え、真夏でも長袖を着て過ごすほどでした。「体の中に寒気が入り込んでいるようです」と表現されていました。朝起きると全身がパンパンにむくみ、午後になると頭がぼーっとする症状が繰り返されました。病院で検査を受けても特別な原因は見つからず、ただ鎮痛剤で乗り切る日々でした。 |
慢性的な産後病(産後風)、根本原因は何でしょうか?
ここで私たちが注目すべきは、まさに体内部の複合的な不均衡です。私はミンジさんのような患者様を診る際、単に表面に現れた症状だけを見るのではありません。出産は、女性の体に想像以上に大きなエネルギーを消耗させます。単に子供を産む行為に留まらず、出血、睡眠不足、過労、ストレスなど複合的な要因が重なり、私たちの体の深部からバランスが崩れ始めるのです。
漢方医学ではこれを気血不足と瘀血(おけつ)の停滞と説明します。出産過程で多くの血液と津液(しんえき)が消耗されますが、これが適切に補充されないと、体が全体的に虚弱になり、免疫力も低下します。これはまるで底に穴が開いた水筒のように、いくら水を注いでもすぐに空になってしまう状態と同じです。体がエネルギーを生産し貯蔵する機能が弱まり、必要な栄養分と活力を全身に十分に供給できない状態を意味します。結果として、極度の疲労、免疫力低下、回復遅延などの慢性的な症状へとつながるのです。
これに加えて、産後に完全に排出されなかった瘀血(おけつ)が体中に停滞すると、血液循環を妨げ、痛みやしびれ、むくみの原因となります。まるで血管の中に濁った老廃物が溜まり、主要な機能を妨げるようなものです。このような瘀血は、単に血液循環を阻害するだけでなく、細胞や組織に必要な酸素や栄養の供給を妨げ、局所的な炎症反応を引き起こし、痛み、しびれ、むくみを悪化させる主な原因となります。
このような気血不足と瘀血の停滞は、私たちの体の調節システムである自律神経系にも影響を及ぼします。自律神経系は、心臓の拍動、消化、体温調節など、私たちの意思とは関係なく体の機能を調節する重要なシステムです。このバランスが崩れると、夜眠りにくくなったり、心臓がドキドキしたり、消化不良になったりするなど、様々な症状が現れます。ミンジさんが経験された不安感や抑うつ感も、自律神経系の不均衡と無関係ではありません。
体の環境を変える鍵:個別化された漢方治療
既存の治療の多くが症状緩和に焦点を当てているとすれば、私が注目するのは、このような内部の不均衡を根本的に解消し、体の回復力を取り戻すプロセスです。人それぞれ出産過程、生活環境、体質がすべて異なるため、現れる産後病(産後風)の症状とその原因もまた異なるのは当然です。
私は患者様お一人お一人の声に耳を傾け、脈診や腹診など、漢方医学的な診断過程を通じて体内部の正確な状態を把握します。気血がどれほど不足しているのか、瘀血はどの部位にどれほど停滞しているのか、自律神経系はどのような形で不均衡をなしているのかなどを綿密に診ていきます。まるで専門家が古い家の配管と電気システムを丁寧に点検するように、です。
そしてその診断に基づき、オーダーメイドの漢方薬処方を通じて体の環境を変えていきます。単に痛いところを鎮めるだけでなく、不足した気血を補い、瘀血を取り除き、乱れた自律神経系のバランスを取り戻す手助けをするのです。そうすることで、体は自ら回復力を発揮し始めます。血液循環が円滑になり、体内の老廃物が適切に排出され、神経系が安定して深い眠りにつけるようになります。
ミンジさんもこのような過程を経て、手首と膝の痛みが徐々に減少し、冷えていた体に温かさが巡り始めました。何よりも、ぐっすり眠れるようになったことで慢性的な疲労が改善され、それほど重かった心の負担もずいぶん軽くなったとおっしゃっていました。
回復の主体となる時:生活の質を高める道
慢性的な産後病(産後風)は、もはや避けられない「年齢のせい」や「体質のせい」ではありません。体内部の不均衡が長期間蓄積されて現れた結果なのです。この不均衡を正確に診断し改善すれば、私たちの体は驚くべき回復力を示すことができます。
重要なのは、まさに皆さんご自身がご自身の体を理解し、回復の主体となることです。医療従事者は道案内をするだけであり、その道を歩むのは皆さんご自身なのですから。ご自身の体が送るサインに目を背けず、小さな変化にも耳を傾け、地道にご自身を大切にすることが、長きにわたる産後病(産後風)から脱却し、真に生活の質を向上させる出発点となるでしょう。
皆さんは一人ではありません。私でなくても、皆様の体全体を注意深く診て理解しようとする医療従事者と共に手を取り、この回復の旅を始めてくださることを心から願っております。