食事制限で鶏むね肉を中心に食べているのに、なぜ体重計の数字が変わらないのでしょうか?
大切なのは「何を食べるか」以上に、自分の体がそれを「適切に処理できる状態か」という点です。タンパク質の分解には多大なエネルギーを要するため、胃腸のエネルギーが不足した『脾虚(ひきょ)』の状態では、栄養をエネルギーに変えられず、未処理の栄養が『痰飲(たんいん)』という老廃物として蓄積されてしまいます。まずは、食べたものをしっかり「燃やせる体」を作ることが最優先です。
私も以前、痩せようとしてパサパサの鶏むね肉ばかりを食べていた時期がありました。お腹は張るのに頭はふらふらして、身をもってこの「失敗」を経験したことで、ようやく気づいたのです。ダイエットの正解は、単にカロリーの数字を減らすことではなく、食べたものをいかに効率よく「燃やし切るか」にあるという事実に。
西洋医学ではタンパク質の分解過程で熱が産生されると言われますが、基礎代謝が落ちている状態では、その過程自体が胃腸の大きな負担になります。韓医学(伝統医学)では、これを消化器系のエネルギーが不足した『脾虚(ひきょ)』の状態と呼びます。エネルギーが足りないため、いくら良質なタンパク質を摂取してもエネルギーに変換されず、『痰飲(たんいん)』という生理的な老廃物として体に溜まってしまうのです。
特にストレスの多い現代人は、気血の巡りが滞る『瘀血(おけつ)』の症状を併発しがちです。循環が悪い中でさらにタンパク質を詰め込むと、体はその処理だけで手一杯になり、肝心の脂肪を燃やすための余力が残りません。こうなると鶏むね肉はダイエットの味方ではなく、体を重くする「お荷物」になってしまいます。
ですから、私は患者様に「むやみに食事量を減らすのはやめましょう」とお伝えしています。まずは体の中の「火種」を再び灯し、臓腑機能を回復させて代謝が自らスムーズに回るようにすることが先決です。今のあなたの体がなぜ食べ物を処理しきれず困っているのか、その根本的な原因から一緒に解決していきましょう。
医療者による確認